母は眠る

輸血の効果か、白っぽかった唇はやや赤みを増していた。
敬三叔父夫婦が見舞いに来た時も、ほとんど眠っていた。
目が覚めて、少し話もしたが、あまり言葉は多くなかった。
二人が病室を出て行くときに、その場で見送ろうとしたら、怒った顔で手を振って、ちゃんと送れ、と。生来の気位の高さに磨きがかかっていた。
戻ってみたら、もう眠っていた。