覘き小平次

「探ったところでどうせ空なんだろうよ。お前も俺も、素ッからかんだよ。否、誰だってそうなんだ。今判ったぜ。…コトは語って初めてモノになる。語らなくちゃ何もねェんだ。嘘でも法螺でも吹きゃ吹いただけモノになるんだ。…」
嗤う伊右衛門」と対をなす不思議な愛の形。押入に引きこもり女房を覗き見る小平次は流石京極夏彦、極めて現代的。
また、伊右衛門が又市の物語とするなら、こちらは治平の物語であった。